麻酔科

        金出政人(Kanaide Masato、麻酔科専門医、医学博士、一番左)
        手術室スタッフ(看護師6名、滅菌技師2名)と一緒に

麻酔科の診療内容

当院では、麻酔専門医が全身麻酔だけでなく、腰椎麻酔および伝達麻酔も行っています。
また特徴として、超音波ガイド下末梢神経ブロックやオピオイド持続静注など様々な鎮痛法を駆使して、患者さんの周術期の痛みをしっかり抑え、術後の早期回復を目指しています。またせん妄や吐き気など、つらい麻酔の副作用に対しても積極的に対策しており、結果、全身麻酔手術を受けた9割以上の患者さんが翌朝までに食事再開できています。80歳以上の高齢者の方も特に問題なく対応できています。どうぞ安心して手術を受けてください。

2020年の診療状況

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大にともなって、外来受診患者数は大幅に減少しましたが、手術件数は例年とほぼ変わりなく、当院が得意とする脊椎手術は腰椎193件、頚椎31件、胸椎23件、また人工関節手術は股関節(THA)62件、膝関節(TKA)45件と、ほぼ例年同様に行われました。
尚、脊椎手術や人工関節手術は全身麻酔で行っていますが、これら手術を受けた80歳以上の高齢者は、2019年52人から2020年73人(40%UP)と急増していました。コロナ禍を生き残るためには、高齢者も自立しなければならないからでしょうか???『もっと歩けるようになりたい!』、『元気になりたい!』という患者さんの希望に応えらえるように、今年もより安全安楽な麻酔、周術期管理を目指して頑張ります!

感染対策

脊椎手術や人工関節置換術の手術部位感染(SSI)はガイドラインなどで1~4%と報告されていますが、当院のSSI発生率は、ここ10年間で数名と大変低く抑えられています。
当院では特に、手術器械の洗浄・滅菌に力を入れています。医療器具の洗浄や滅菌処理を行う業務を中材業務と言いますが、当院の手術室スタッフは、長崎中材業務研究会の中心メンバーとして活動しています。また私自身も2018年からオブザーバ―として参加し、当院だけでなく長崎県下のSSI発生率の低下を目指しています。
長崎中材業務研究会(HP:https://nagasakicyuuzai.wixsite.com/tyuzai

自己紹介

役 職 副院長
出身高校 福岡県立小倉高校
卒業年・出身大学 1999年(平成11年)・長崎大学医学部
略 歴 1999年 長崎大学医学部附属病院麻酔科
2000年 長崎労災病院麻酔科
2002年 大分県立病院麻酔科
2003年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
2007年 菅整形外科病院麻酔科・整形外科
2009年 国立病院機構長崎医療センター麻酔科
2011年 菅整形外科病院麻酔科・ペインクリニック部長
2017年 菅整形外科病院副院長
専門分野 麻酔一般(医学博士)・ペインクリニック
興味のある分野 超音波ガイド下末梢神経ブロック・トリガーポイント注射・小侵襲ばね指手術
変形予防治療(骨粗鬆症治療、関節内ヒアルロン酸注射治療、再生医療PFC-FD療法)
整形外科手術の術後早期回復を目指した周術期管理
痙縮治療(バクロフェン髄注療法、ボツリヌス療法)
難治性の痛み治療(ハイドロリリース注射、凍結肩の治療、高周波療法、脊髄刺激療法、硬膜外腔癒着剥離術)
加入学会・資格 日本麻酔科学会専門医、医学博士、厚生労働省認定麻酔科標榜医、
日本老年麻酔学会会員、日本ペインクリニック学会会員、
日本運動器疼痛学会会員、長崎中材業務研究会(オブザーバー)

活動紹介(麻酔関連)

  • 2021年
  • 3月、第一三共株式会社社内研修会(長崎)講師「当院の周術期管理と、当科の慢性痛治療~鎮痛薬の中止と再開、減量の仕方について~」
  • 2020年
  • 12月:「痛み」トータルマネジメントフォーラムin県央(諫早)講師:「私の周術期疼痛コントロールと慢性痛治療」
  • 2019年
  • 1月:院内研修会講師:「心肺蘇生法」
  • 1月:第32回長崎中材業務研究会セミナー(諫早)特別講演座長
  • 3月:院内研究発表会司会、演題1「当院におけるボツリヌス療法の経験」、演題2「LTSF滅菌について 低温蒸気ホルムアルデヒド滅菌器を導入しての運用状況」、演題3「腰椎手術後にNRSを用いた疼痛緩和への取り組み」、伝達講習「自立支援のデイづくり」
  • 12月:院内研修会講師:「心肺蘇生法、トリアージ、当院における災害時対策」
  • 2018年
  • 6月:第30回長崎中材業務研究会セミナー(長崎)特別講演座長
  • 9月:長崎中材業務研究会オブザーバー就任
  • 2017年
  • 2月:不眠診療セミナー(諫早)司会
  • 7月:院内研修会司会:「回復期病棟の患者さんが「よくなる」ために~私たちが実践していること~」講師;東京湾岸リハビリテーション病院 リハビリテーション科 松浦大輔先生
  • 12月:院内研修会講師:「心肺蘇生法」
  • 2016年
  • 3月:第3 回運動器エコー研修会(長崎)講師:「私の頚部ブロック治療」
  • 12月:院内研修会講師:「心肺蘇生法」
  • 2015年
  • 2月:日本老年麻酔学会(盛岡)発表「低侵襲腰椎手術におけるレミフェンタニル・持続フェニレフリン併用麻酔」
  • 3月:大塚製薬社内研修会(長崎)講師:「当院における術後早期回復を目指した周術期管理について」
  • 12月:院内研修会講師:「心肺蘇生法」
  • 2014年
  • 12月:院内研修会講師「心肺蘇生法」
  • 2013年
  • 1月:院内研修会講師「新しい心肺蘇生法」
  • 2月:日本老年麻酔学会(函館)発表「左肺全摘既往患者の膝蓋骨骨折の麻酔経験」
  • 11月:日本臨床麻酔学会(石川)発表「アイソカルアルジネードウォーターとオーエスワンの併用で術前経口補水を行った際の副作用の後ろ向き検討」
  • 2012年
  • 6月:院内研修会講師「神経ブロック療法」
  • 9月:九州麻酔科学会(福岡)発表「術前経口補水療法中の副作用の後ろ向き検討」
  • 11月:日本臨床麻酔学会(福島)発表「頸椎後方手術時の顔面部褥瘡を予防する非侵襲的頭部支持法」
  • 2011年
  • 9月:九州麻酔科学会(宮崎)共催セミナー講演「高齢患者におけるレミフェンタニル・持続フェニレフリン併用麻酔」
  • 11月:院内研修会講師「麻酔を知ろう!」

論文(麻酔関連)

医学論文(邦文)

  1. 手術患者の回復力強化(Enhanced Recovery After Surgery:ERAS)プロトコルと超音波ガイド下末梢神経ブロック 国立病院機構長崎医療センター医学雑誌 13(1), 37-42, 2011
  2. レミフェンタニル・持続フェニレフリン併用麻酔が高齢患者の導入時の循環変動に及ぼす影響(後ろ向き検討):臨床麻酔 35(8), 1235-1241, 2011
  3. 高齢患者におけるレミフェンタニル・持続フェニレフリン併用麻酔 九州麻酔科学会第49回大会 共催セミナー記録集 Lecture 1, 2011

医学論文(英文)

  1. Preadministration of low-dose ketamine reduces tourniquet pain in healthy volunteers. J Anesth. 2005;19(2):180-2.
  2. Hemodynamic and catecholamine responses during tracheal intubation using a lightwand device (Trachlight) in elderly patients with hypertension. J Anesth. 2003;17(3):161-5.