菅整形外科病院| ペインクリニック科菅整形外科病院

医療法人社団 尚整会 菅整形外科病院

ペインクリニック科

昨年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりに加えて、日本においても第1波、第2波、第3波と押し寄せる脅威に、当院でもこれまでに経験したことのない緊張感の中、診療を行ってきました。今年もまだまだ油断できませんが、当院での治療を希望される患者様に、私たちの医療をしっかりと提供できるよう、スタッフ一同尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、再診の方に限ってですが、電話診察で鎮痛薬の調整、処方をおこなっています。ご希望の方は受付(TEL:0957-23-2388)までご相談ください。

            令和3年1月 金出 政人(かないで まさと Kanaide Masato)

ペインクリニック科の診療内容

ペインクリニック科では、麻酔技術を応用して、鎮痛薬が効きにくい運動器の痛みや帯状疱疹の痛みなどに対して、注射治療を主軸に専門的な治療を行っています。また、脳や脊髄の異常で生じる筋肉の緊張(痙縮;けいしゅく)に対して、ボツリヌス療法やバクロフェン髄注療法を行っています。治りの悪い痛みや、痙縮にお悩みでしたら、どうぞご相談ください。

2020年の診療状況

2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、総受診数は減りましたが、新患数は2019年と変わらず、注射本数に関しては増加していました。要因として、帯状疱疹後神経痛(PHN)や仙腸関節症の高周波療法、重度肩こりのハイドロリリース注射、肩関節のヒアルロン酸注射、ばね指の腱鞘注射を希望される方が増えていました。
また、保険のきかない自由診療ですが、帯状疱疹予防ワクチンの接種と、血小板の傷を治す働きを利用した再生医療PFC-FD療法を開始しました。
注射治療によって痛みが和らぐと、筋肉の緊張がほぐれて血行が良くなります。しかし、これまでと同じ生活スタイルでは、その効果は長続きしません。普段の姿勢や生活習慣を改善して、体力、免疫力が向上することで、なかなか治らなかった痛みが治癒に向かいます。ぜひそのつらい痛みを克服して、元気な日常生活を取り戻してください。



慢性痛治療①:超音波ガイド下筋膜リリース注射(ハイドロリリース注射)
筋膜の癒着や肥厚部位に、超音波(エコー)ガイド下に薬液を注射して筋膜を剥離する治療です。首こり、肩こり、肩痛、肘痛、背部痛、腰痛、膝痛など、レントゲンやCT、MRIなどでは診断できない全身の筋肉・筋膜性の痛みに有効※で、痛みだけでなく関節可動域も改善することがあります。また従来のトリガーポイント注射(筋硬結内注射)も合わせて行っています。※効果の持続期間には個人差があります。


慢性痛治療②:高周波療法(高周波熱凝固法、パルス高周波法)
高周波療法は、針の先端から高周波電流を痛みの原因となっている神経に流し、痛みを遮断あるいは緩和する治療です。局所麻酔薬による神経ブロック治療で一定の効果がみられる場合に行う治療で、高周波熱凝固法は半年~1年、パルス高周波法は3ヶ月~半年間ほど痛みを和らげることができます※。パルス高周波法は運動麻痺や感覚障害といった副作用がなく、安全性の高い治療法です。本治療は水曜日午後または金曜日午後の外来(予約制)で行っています。※効果の持続期間には個人差があります。


慢性痛治療③:非観血的肩関節授動術
五十肩(肩関節周囲炎)は、加齢などによって柔軟性が低下した肩関節周囲の組織が傷ついて炎症を生じ、肩の痛みや運動制限をおこした状態です。薬物療法(内服、座薬、注射など)や理学療法(リハビリテーション)、温熱療法などで改善しない場合は、重症化した凍結肩(癒着性肩関節包炎)の可能性があります。当科では超音波(エコー)で凍結肩を診断し、神経ブロック下に非観血的授動術を行っています。※治癒するまでの期間には個人差があります。


慢性痛治療④:硬膜外腔癒着剥離術(PEA)
難治性の腰下肢痛があり、硬膜外腔造影検査で硬膜や神経根周囲に、局所的な癒着が認められた場合に手術の適応となります。PEAは仙骨裂孔から硬膜外腔に挿入した特殊なカテーテルを用いて、生理食塩水や高張食塩水を注入して癒着を剥離する、低侵襲カテーテル治療です。当科では主に、高周波療法とPEAで難治性腰下肢痛を治療しています。※効果の持続期間には個人差があります。


重度痙縮の治療:バクロフェン髄注療法(ITB療法)
脳や脊髄の異常で生じる筋肉の緊張(痙縮;けいしゅく)に対して、当科では内服療法やボツリヌス療法に加えて、バクロフェン髄注療法(ITB療法)を行っています。ITB療法は、バクロフェンというお薬を作用部位である脊髄の周囲へ直接投与することにより、全身の痙縮をやわらげる治療です。体内に薬剤注入ポンプを埋込み、薬剤投与速度をコントロールして、適度に痙縮を緩和し、持続させます。


自由診療①:帯状疱疹予防ワクチン
帯状疱疹とは、体の片側の一部にピリピリとした痛みが現れ、その部分に水ぶくれを伴う赤い発心が出現する病気です。日本人成人の90%以上が帯状疱疹になる可能性があり、80歳までに3人に1人が発症すると言われています。また、帯状疱疹に1度かかった人でも、体の免疫力が低下すると、再びかかる可能性があります。
 帯状疱疹が頭部、顔面に出ると、目や耳の神経が障害され、めまい、耳鳴りなどの合併症、重症化すると視力低下や顔面神経痛など重い後遺症が残ることがあります。また帯状疱疹が治った後も長期に痛みが残ることがあり、帯状疱疹後神経痛(PHN)と言われています。50歳以上で帯状疱疹になった場合、約2割がこのPHNになると言われています。当科では、PHNの治療も行っていますが、帯状疱疹の予防が大切と考え、ワクチン接種を行っています。
当院で接種できる2種類の帯状疱疹ワクチンの特徴


自由診療②:PFC-FD療法
PFC-FD療法は、ご自身の血液から作った、『血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存したもの』を患部に注射する治療です。血小板が傷を治す際に放出する『成長因子』の働きを活用し、人体がもともと持っている『自己治癒力』を利用する新しい治療法です。PFC-FD療法は変形性関節症や、関節周囲の靭帯や軟部組織の治療に用いられ、全国では現在までに1万例をこえる方が治療を受けています。
従来の保存治療に効果がない方、手術治療を望まない方、PFC-FD療法にご興味がある方はペインクリニック外来までお問い合わせください。

PFC-FD療法で改善が期待できる疾患
変形性関節症(膝・股・肘・足首)、靭帯損傷(膝十字靭帯損傷・肘関節靭帯損傷)、腱炎(テニス肘・膝蓋腱炎・アキレス腱損傷・足底腱膜炎)、筋損傷(肉離れ)など

PFC-FD療法の流れ
※PFC-FD療法をご希望の方は本治療の適応であるかを診断するために、まずは通常の受診をしていただきます。
また採血日から注射日まで約3週間かかります。

自己紹介

役 職 副院長
出身高校 福岡県立小倉高校
卒業年・出身大学 1999年(平成11年)・長崎大学医学部
略 歴 1999年 長崎大学医学部附属病院麻酔科
2000年 長崎労災病院麻酔科
2002年 大分県立病院麻酔科
2003年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
2007年 菅整形外科病院麻酔科・整形外科
2009年 国立病院機構長崎医療センター麻酔科
2011年 菅整形外科病院麻酔科・ペインクリニック部長
2017年 菅整形外科病院副院長
専門分野 麻酔一般(医学博士)・ペインクリニック
興味のある分野 超音波ガイド下末梢神経ブロック・トリガーポイント注射・小侵襲ばね指手術
変形予防治療(骨粗鬆症治療、関節内ヒアルロン酸注射治療、再生医療PFC-FD療法)
整形外科手術の術後早期回復を目指した周術期管理
痙縮治療(バクロフェン髄注療法、ボツリヌス療法)
難治性の痛み治療(ハイドロリリース注射、凍結肩の治療、高周波療法、脊髄刺激療法、硬膜外腔癒着剥離術)

加入学会・資格 日本麻酔科学会専門医、医学博士、厚生労働省認定麻酔科標榜医、
日本老年麻酔学会会員、日本ペインクリニック学会会員、
日本運動器疼痛学会会員、長崎中材業務研究会(オブザーバー)

活動紹介(ペインクリニック関連)

  • 2021年
  • 1月、非観血的肩関節授動術(凍結肩の治療)、100例目実施
  • 3月、第一三共株式会社社内研修会(長崎)講師「当院の周術期管理と、当科の慢性痛治療~鎮痛薬の中止と再開、減量の仕方について~」
  • 2020年
  • 1月:ITB療法(バクロフェンポンプ植込み術)3例目実施
  • 2月:ITB療法(バクロフェンポンプ植込み術)4例目実施(於:長崎大学病院)
  • 10月:旭化成ファーマ社内研修会(長崎)講師「長崎くんちから学んだ長崎の歴史と、骨粗鬆症治療から学んだ慢性痛の治療」
  • 12月:「痛み」トータルマネジメントフォーラムin県央(諫早)講師:「私の周術期疼痛コントロールと慢性痛治療」
  • 12月:ITB療法(バクロフェンポンプ植込み術)5例目実施(於:長崎大学病院)
  • 2019年
  • 1月:第30回長崎県理学療法学術大会(長崎)口演・共同演者:「脳卒中後痙性麻痺患者3症例におけるボツリヌス療法の経験」
  • 3月:院内研究発表会司会、演題1「当院におけるボツリヌス療法の経験」、演題2「LTSF滅菌について 低温蒸気ホルムアルデヒド滅菌器を導入しての運用状況」、演題3「腰椎手術後にNRSを用いた疼痛緩和への取り組み」、伝達講習「自立支援のデイづくり」
  • 5月:諫早医師会学術講演会(諫早)特別講演座長「神経障害性疼痛の薬物療法―診断のコツとポイント-」
  • 8月:旭化成ファーマ社内研修会(長崎)講師「当科における骨粗鬆症治療」
  • 12月:第6回九州・山口ITB療法カンファランス(福岡)参加
  • 2018年
  • 1月:第30回長崎脊椎研究会(長崎)講師:「脊椎疾患におけるエコー下ブロックの実際」
  • 3月:脊髄刺激療法(脊髄刺激装置植込術)施行
  • 5月:第14回長崎麻酔研究会(長崎)口演:「脳性麻痺による痙縮に対し、バクロフェン髄注療法(ITB療法)が有効であった一症例」
  • 6月:ITB療法(バクロフェンポンプ植込み術)2例目実施
  • 11月:硬膜外腔癒着剥離術1例目実施
  • 2017年
  • 2月:不眠診療セミナー(諫早)司会
  • 3月:痛み・痺れに対する薬物治療を考える会(諫早)講師:「非特異的腰痛で終わらせない!」
  • 7月:院内研修会司会:「回復期病棟の患者さんが「よくなる」ために~私たちが実践していること~」講師;東京湾岸リハビリテーション病院 リハビリテーション科 松浦大輔先生
  • 7月:諫早痙縮治療セミナー(諫早)口演「ITB療法を始めます!~安全・適切な実施にご協力下さい~」
  • 8月:ITB療法(バクロフェンポンプ植込み術)1例目実施
  • 8月:ボツリヌス療法1例目実施
  • 9月:科研製薬社内研修会(長崎)講師「肩痛の超音波診療」
  • 11月:第103回長崎整形外科懇話会(長崎)口演「脳性麻痺による痙縮に対し、バクロフェン髄注療法(ITB療法)が有効であった一症例」
  • 2016年
  • 3月:第3回運動器エコー研修会(長崎)講師:「私の頚部ブロック治療」
  • 5月:全日病SQUE看護師特定行為研修(Eラーニング)講師:「痛みの診療」
  • 7月:諫早医師会・健康市民講座『のんのこ健康大学』講師:「五十肩」
  • 11月:日本運動器疼痛学会(東京)発表:「超音波ガイド下トリガーポイント注射」
  • 12月:塩野義製薬社内研修会(長崎)講師:「当科の腰痛診療」
  • 2015年
  • 7月:日本ペインクリニック学会第49回大会(大阪)発表「パルス高周波療法が著効した上殿皮神経障害の1症例」
  • 2014年
  • 2月:南高医師会第1区勉強会(南島原)講演「変形を進行させない痛みの治療は可能か?」
  • 5月:佐世保整形外科医学学術講演会~第3回 運動器の痛みを考える会~(佐世保)講演「変形を進行させない痛みの治療は可能か?」
  • 11月:上五島地区学術講演会(上五島)講演「変形を進行させない痛みの治療は可能か?」
  • 2013年
  • 3月:島原医師会学術講演会(島原)講演「セレコキシブの消炎効果を重視した痛みの治療」
  • 7月:日本ペインクリニック学会(埼玉)発表「慢性腰痛にL2神経根パルス高周波が著効した1症例」
  • 10月:イーライリリー製薬社内研修会(長崎)講師「骨粗鬆症治療を組み入れたペインクリニック」
  • 10月:旭化成製薬/富田薬品社内研修会(諫早)講師「骨粗鬆症治療を組み入れたペインクリニック」
  • 11月:長崎県医師会生涯教育認定講座「第2回痛みを考える会in佐世保」(佐世保)講演「セレコキシブの消炎効果を重視した痛みの治療」
  • 11月:県央地区慢性疼痛懇話会(諫早)講演「非がん性慢性疼痛の機序と保存療法」
  • 2012年
  • 6月:韓国ウリドゥル病院ペインクリニック科訪問、「硬膜外形成術」を見学
  • 6月:院内研修会講師「神経ブロック療法」
  • 7月:日本ペインクリニック学会(島根)発表「鏡視下肩関節包解離術後の難治性肩関節拘縮に対し、神経ブロック下非観血的授動術を施行した一症例」
  • 9月:科研製薬社内研修会(長崎)講師「運動器の超音波診療」
  • 11月:長崎整形外科懇話会(長崎)発表「頚肩腕痛に対する超音波ガイド下神経ブロック療法」
  • 12月:アステラス製薬アドバイザリーミーティング(長崎)アドバイザー「腰痛症診療におけるNSAIDsの位置づけ」
  • 2011年
  • 11月:院内研修会講師「麻酔を知ろう!」

論文(ペインクリニック関連)

医学論文(邦文)

  1. パルス高周波法が著効した上殿皮神経障害の1症例:日本ペインクリニック学会誌23(4), 555-558, 2016
  2. 脊椎分離症における根症状の治療 円筒形レトラクターを使った顕微鏡下手術(TRM法)について:整形外科と災害外科 58(3), 346-350, 2009
  3. ITB(髄腔内バクロフェン)療法 日本における新しい重度痙縮の治療:日本薬理学雑誌 131(2), 109-114, 2008

医学論文(英文)

  1. S(+)-ketamine suppresses desensitization of γ-aminobutyric acid type B receptor-mediated signaling by inhibition of the interaction of γ-aminobutyric acid type B receptors with G protein-coupled receptor kinase 4 or 5.  Anesthesiology. 2011 Feb;114(2):401-11
  2. Presence of GABA(B) receptors forming heterodimers with GABA(B1) and GABA(B2) subunits in human lower esophageal sphincter.  J Pharmacol Sci. 2009 Nov;111(3):253-9. Epub 2009 Nov 6.
  3. mu-Opioid receptor forms a functional heterodimer with cannabinoid CB1 receptor: electrophysiological and FRET assay analysis.  J Pharmacol Sci. 2008 Nov;108(3):308-19. Epub 2008 Nov 13.
  4. Desensitization of GABA(B) receptor signaling by formation of protein complexes of GABA(B2) subunit with GRK4 or GRK5. J Cell Physiol. 2007 Jan;210(1):237-45.
  5. Coupling of GABAB receptor GABAB2 subunit to G proteins: evidence from Xenopus oocyte and baby hamster kidney cell expression system. Am J Physiol Cell Physiol. 2006 Jan;290(1):C200-7. Epub 2005 Aug 24.

著書

  1. 「NMDA受容体拮抗薬の使い方は?」等 がん疼痛緩和ケアQ&A じほう,東京,2006

新型コロナウイルス感染症予防について

新型コロナウイルスは、一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。また閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどがなくても感染を拡大させるリスクがあります。
●飛沫感染:感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルス をなどから吸い込んで感染します。また目からも感染します。
●接触感染:感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの者に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手でを触ると粘膜から感染します。

当科を受診される患者さんへのお願い
・当院には、多くのご高齢の方や免疫力が低下している方が通院、入院しています。当院を受診する際には、マスクを着用するほか、手洗い咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。
風邪症状があれば、受診前にまずは電話でご相談ください。お電話にて診察させていただき、薬の調整、処方箋発行などの対応をいたします。電話番号:0957-23-2388(代)
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・院内の換気をよくしていますので、冬季は特に、待合室がとても寒いことがあります。暖かい服装で受診されて下さい。

診療時間
◆外来受付時間

【月~金】 8:00~16:30
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※午前の診察受付 ~11:00
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◆ペインクリニック

※予約制

◆内科受付時間

8:00~9:00(火曜・金曜休診)
※土曜 不定期

◆内科(リウマチ科)

※予約制

◆リハビリ受付時間(※現在予約制)

【月~金】 8:00~17:00
【土】 8:00~11:00
※午前のリハビリ受付 ~12:00
(運動療法 ~11:30)
※午後のリハビリ 14:00~